セメスター2 成績交付

こんにちわ、ピータックです。日本はお盆も終わり、私の隔離場所は大雨の影響もそこまで大きく、また蝉の鳴く声が聞こえてきました。
さて、お盆に日本でダラダラしていると親や親戚の視線が痛いところではありますが、バジーノイズが全五巻であっという間に読了となったため、バンド漫画つながりということで冬目景先生の『空電ノイズの姫君』を読み始めました。『イエスタディをうたって』が昨年アニメ化されて久々に見直したところだったので、冬目先生の画にスマートフォンが出てくるのに最初は若干の違和感を覚えましたが、いやいやなかなか読みごたえのある漫画です。

さて、先月末で終わった2ndセメスターの成績が本日の早朝に交付されまして(NUSアプリで日本にいながらでも確認可能)、無事、落第なく済みました。

今回、2ndセメスターで受講した授業は以下の4つ
・Marketing Strategy(マーケティング)
・Corporate Strategy(ストラテジー)
・Managerial Operations & Analytics(オペレーション、通称MOA)
・MBA Consulting Project(コンサルプロジェクト)

このうち、コンサルプロジェクトについては講義形式ではなく、実際の企業に対してコンサルを行う実践プログラムなので今回は省略し、それ以外の3つのモジュールを簡単に振り返っておきたいと思います。今回はすべての授業でグループ課題があり、グループメンバーとどう上手くやるかが裏テーマのようなセメスターでした。

Marketing Strategy(マーケティング)
期待していたクラスメートが多かった分、落胆したクラスメートも多かったのがマーケティングの講義。コトラーのテキスト(下に貼ってる日本語版は読んでないですが)をもとにマーケティングの理論を説明していく授業で、ケースは2,3個を使ったくらいかな。授業自体は総花的だったのと、あまりにもシングリッシュが強い教授で聞き取りもつらく、興味を持ちづらいものでした。しかし、この授業の特徴はなんといってもSabre(セイバー)と呼ばれるシミュレーションゲーム。「シムシティ」とか「The コンビニ」みたいなやつで、5~6人でグループを作り、6グループが同じ世界で自グループの製品のマーケットシェアを競うというもの。毎週、それぞれの製品の価格や生産数量、セールスマンの人数、広告への予算投入量、購入するマーケットレポートの種類などの意思決定を行うのですが、決めることが多いのと、この順位がそのまま各メンバーの得点に直結する(1位のグループは25点、6位のグループは15点というように)こともあり、長いときには4時間近くもZoomでミーティングすることもありました。

どのグループも色々なドラマがあり、うちのグループも例にもれずに色々とありましたが、長時間のzoomミーティングに一生懸命ついていくのは英語力の面ではいい訓練になったと思います。それにしてMicrosoftのTeamsはなんであんなに使いづらいのだろう。それとも自分がZoomに最適化しているだけなのか。。。まぁ、うちのグループは最終的には6グループ中4位で中の下。グループレポートはB。まぁ、こんなもんでしょう。

ちなみに、テストはテキスト読んでれば授業を聞いてなくても大丈夫という日本の大学のような講義でした。

Corporate Strategy(ストラテジー)
さて、こちらは一応教科書はあるのですが、教科書以外にも教授がたっぷり読み物を準備しており、レジュメも読みごたえあるうえにケースもそれなりにあったので、結局教科書は読まずじまい。それにしても、この教科書「Good Strategy and Bad Strategy」、日本語もあることも驚きだけど、日本語の値段が2倍以上ということも驚き。時間あれば読もうかな。まぁ、読まないだろうな。

この授業の成績評価は、中間課題としてのグループレポート、最終課題としての個人レポート。それに出席点を加算したものでテストは無し。我がグループは韓国・中国・インドネシア・タイに日本人二人という構成でしたが、メンバーは皆真面目でほとんどコンフリクトもなく無事終わりました。ちなみに、課題はどこかの企業の戦略を分析し、新たな戦略を提案するというものでしたが、我々のところではLINE(株)を分析することとし、LINEのプラットフォームを活用してメルカリが牛耳るC to Cのソーシャルコマース市場に参入するというもの。タイやインドネシア、中国などのソーシャルコマース事情と比較しながらの分析はなかなか興味深かったです。

そして、個人レポートは授業の最後で取り上げられたM&AをテーマにJTの海外M&Aを分析。これはタイ駐在時代に感じていた中小企業の海外展開などと課題点やポイントが重なるところもあり、印象に残るレポートになりました。

Managerial Operations & Analytics(オペレーション、通称MOA)
さて、最後はオペレーション。このブログを書いててシラバスを読み返して初めて教科書”Matching Supply with Demand: An Introduction to Operations Management (English Edition)”があったことに気付きました。授業指定は3版でしたけど、4版の値段は4分の1くらいですね。表紙のデザインとしても4版の方が自分は好みです。

この授業、毎回1、2つの事例が配布され、それを読まない事には何の議論をしているのか全く分からない授業だったので事例を読むだけで精一杯。しかも、ストラテジーとオペレーションの授業が月曜の朝8:30~11:30、12:00~15:00という連続講義で、学部時代であれば単位は諦めてるレベルだったので、教科書まで手が回りませんでした。なお、事例は、日本の十八番のオペレーションの授業ということもあり、下で挙げるような日系企業の事例も取り上げられていました。中でも、Tesseiは、クレームが絶えず、従業員の意識も低い3K職場の改革を行い、「7分間の奇跡」と呼ばれるようにまでなったという事例で、Web上でも高評価でしたが、最後のクラスでも、この事例が「もっとも印象に残った」と答えるクラスメートが多かったです。

興味ある方はコチラ 
https://news.goo.ne.jp/article/senkei/bizskills/senkei-20131219-01.html

でも、この事例を議論していた際に自分が興味深かったのは別のポイント。この事例が上手くいった要因として「制服の色や仕組みづくりにより従業員が仕事に誇りを持つようになった」と私が発言した際に、他のインド系シンガポール人のクラスメートから「ただの車内清掃の仕事に誇りを持たせることなど可能なのか(出来ないんだろう)。」という旨の発言があった際に、そういう考え方(仕事に誇りを持てるかどうか、はその仕事の内容に依存するというもの。)がむしろ一般的なのかと。そして、であるがゆえに、自分が中小企業を訪問していた際にはよく耳にした類の職場改善であるにもかかわらず、この事例が欧米のトップスクールでも取り上げられているのかと、自分の中で引っ掛かりました。「車内清掃の仕事に誇りを持たせることは困難」という発言には、スタッフレベルの従業員にとって、仕事は単に「衣食住を確保するための手段」でしかなく、そのモチベーションは規則と報酬によってのみ影響を受ける、というコンテクストから来るものだと思います。したがって、マネジメント側の人間は、どれだけ細かく規則を作り、禁止事項を列挙し、評価によって報酬に結び付けるのか、を考えるべきだという発想になります。そこに、清掃員の「自発的な」貢献という発想は存在しません。そんな彼らからすれば、清掃員の「自発的な」貢献によって「おもてなし」が進化していくのは、非常にAmazingな光景なのかもしれません。この事例は、オペレーションという名前を冠してはいるものの、職業倫理(Professional Ethics)の文脈で再定義される事例なのでしょう。

一方で、そんなコメントのクラスメートに反論しながらも、頭の中では違うことを考えていました。そのAmazingな世界の行きつく先は、「自発的な」サービス残業を強いられる「やりがい搾取」の住みづらい世界なんだよな、と。そんな考えが頭をよぎり、手放しで「奇跡の職場」と称賛することに何となく居心地の悪さを感じていました。

そういうややこしい感情もあり、オペレーションのクラスで日本のケースを取り上げられた際に「日本人だから」という理由で意見を求められるのはあまり気が進みませんでした。なぜなら、教授やクラスメートは日本のそういうAmazingな光景を詳細に説明してもらえるのを望んでいるものの、やはりそこには陰の部分もあり、本当に「日本式」を議論するのであれば、その陰の部分まで突っ込んで議論する必要があるのでは、と感じていたからです。トヨタ式のカイゼンを事例で取り上げられた際にも、世界的に有名な「Just in time」の賛美だけで終わってしまうのはやはり薄っぺらい(filmsy)なと思うし、本当にMBAがアカデミックだけでなく、実務に根差した議論を求めるのであれば、やはり中小企業のサプライヤーの涙ぐましい犠牲の上に成立していることも理解しておく必要があるのでは、と中小企業製造業を相手にしていた元金融機関職員は感じてしまうのです。

まぁ、そんな感じで終了した2ndセメスターでしたが、すべての授業でレポート課題を課された今セメスターの学びとしては、やはり、自分の英語のライティングスキルがまだまだだなということですね。英語ブログでも始めるのがいいのかな。よい訓練方法あれば教えてください。

それでは今日はこのあたりで。