ご無沙汰しております。最近はNetflixにて「夏目友人帳」を見始めたピータックです。もともと「にゃんこ先生」の単語は耳に入っていたのですが、テスト前の現実逃避に見始めたところ、一話完結のアニメは非常に都合よく、昔ながらの日本の懐かしい風景を妖怪たちと楽しんでおります。ちなみにこの画像はNUSの寮の近くに併設されているスタバです。テスト前は混みあいすぎて全く使えませんでしたが、テスト終わるとガラガラです。
さて、NUS MBAは最初のセメスターもようやく終わり、2週間足らずのテスト休暇に入りました。このタイミングで放置気味になっていたブログの息を吹き返してやらんとす、と思い、1stセメスターの講義を振り返るとともに、最近のMBA生活を記録できればと思います。
さて、1stセメスターで受講した授業は以下の6つ
・Managerial Economics(ビジネス経済学、通称Econ)
・Financial Accountings(財務会計)
・Financial Management(ファイナンス、通称FM)
・Leading with impact(リーダーシップ)
・Launch Your Transformation(通称LYT)
・MBA Survival kit(通称MSK)
うち、LYTは以前に紹介した通り、5日間のintensiveな授業だったので、それ以外の5つをざっくり総括していければなと。
Managerial Economics(ビジネス経済学、通称Econ)
いわゆるミクロ経済学なのですが、様々なバックグラウンドのMBA生に配慮してなるべく複雑な数式や計算(微分さえ出来ればというくらい)を用いずに経済理論を軽妙な語り口で解説。また、ミクロ経済学の理論が国家施策、ビジネス、スポーツといった分野で活用されている事例を紹介。
それにしても、学部時代や中小企業診断士で勉強したミクロ経済と比べると価格戦略やゲーム理論の占める割合(レクチャー全体の半分程度)が非常に多くて、時代とともにアカデミックトレンドが変わるのだと実感した講義でした(単純に教授の専門がゲーム理論だった可能性もあるけど)。
また、今セメスターのコア授業で、クラスメイトからの評判が一番よかったレクチャーでした。個人的には「スポーツ経済学」という分野の存在とその中で実際に活用されているPSLというプライシングの仕組みが非常に印象的でしたね。様々な映画が紹介されていたのも印象的でした。
<レクチャー項目>
市場の需要と供給、利益の最大化、独占、価格戦略Ⅰ~Ⅲ、ゲーム理論、市場の失敗
<参考した日本語テキスト>
「ビジネス経済学」「MBAゲーム理論」(ゲーム理論に苦戦して購入)
<紹介されていた映画>
「ビューティフルマインド」(←ナッシュ均衡で有名なジョン・ナッシュを主人公にした映画。教授はナッシュに会った時の話を興奮して話してました)
「マネーボール」(スポーツ経済学の話が出たので見てみたくなりました)。
Financial Accountings(財務会計)
財務会計ですね、借方・貸方から始まるわけですが、すごいスピードで授業は進み、授業の最後は簡単なPL/BSを自分で作ることを目指すというものでした。金融バックグラウンドのメンバーの多くはwaive(放棄)してましたが、大企業のしかも海外のFinancial Statementに触れた経験がそこまで多くない自分は、普通に受講しました。
正直、ほとんどの会計概念は既知の事でしたが、各用語の英語表現(BSじゃなくてFinancial Positionといったり)、国際会計基準に触れられたのはいい機会でした。英語のAnnual Reportへの心理的ハードルもだいぶ軽くなったと思います。
ただ、辛かったのはグループワークでした。。。知識がないメンバーに説明するのはいいのですが、ファイナンスのバックグラウンドがないから、とほとんど貢献するのを諦めているメンバーと作業とするのはメンタルに毒でした。
<レクチャー項目>
仕訳と主な勘定科目、様々な分析数値による決算分析、キャッシュフロー計算書
<参考にした日本語テキスト>
手元にあった会計用語を英語でなんというか、逆に英語の会計用語の意味を調べるのに金融用語の英和辞典を使いました。後半になって英辞郎Pro Liteを導入しましたが、これで十分かもしれません。
Financial Management(ファイナンス、通称FM)
こちらはMBAといえば王道のファイナンスの授業ですね。コア授業なので、ファイナンスの基礎科目になるのですが、教授が淡々と超高速で授業を進めていく様は圧巻で、朝のクラスということもあり、多数の脱落者を出しておりました。ただ、授業の内容自体は、賛否はあれど、レクチャー資料が非常にまとまっており、一歩一歩理解するにはよい授業だったんじゃないかなと思います。中間テストの結果は思い出したくありませんが、、、
個人的にはM&Aの項目でシナジー効果ような言語化しづらい概念を『V AB (M&A後の企業価値)-VA (M&A前の企業Aの企業価値)+ VB(M&A前の企業Bの企業価値)』のように数式にて簡潔に説明しているのを見るのは楽しかったです。
<レクチャー項目>
時間価値、リスクとリターン、企業価値計算、決算分析、債権と株式、MM理論、M&A、配当理論
<参考にした日本語テキスト>
「道具としてのファイナンス」これは結構多くの日本人クラスメイトが使ってました。やっぱkindleでも手に入るのがいいですね。
Leading with impact(リーダーシップ)
以前紹介したLYTに似ているのですが、この授業では、リーダーに必要とされる能力を4つの側面(Structual Frame, Human Resource Frame, Political Frame, Symbolic Frame)から分析し、各場面で適切なリーダーシップを発揮する方法を学ぶというものです。VUCA(予測不能な社会)な世界で必要となるリーダーシップは非常に変化が激しく、前回成功したリーダーシップが必ずしも異なる状況でうまくいくとは限らない。そんな中で、我々は適切なリーダーシップを理論的に選択しなければならない。ということを大袈裟に語ってるわけなんですが、、。教室のなかで理想的なリーダーシップを語る人ほど、実際にチーム課題をやると何もしないが口だけ出すという一番嫌われるリーダーになりがちで、そういう人が教室でリーダーシップを体得できるのか、というのは少し懐疑的に感じていました(学問的にも体系づけられているとは言いづらいしね)。
<参考にしたテキスト>
「How Great Leaders Think」これは指定のテキストなのですが、事例が多く、正直授業より面白かったのでこれを紹介しておきます。
MBA Survival kit(通称MSK)
これは、MBAの卒業生として仕事していくうえで最低限身に付けておくべきスキルだったり、知識だったりを身に付けておこうよという授業だと思います(多分)。前半と後半に分かれていて、前半は、人種、性別や宗教が異なる個人がチームで仕事するいくうえで、それぞれの文化や考え方を違いがコンフリクトを引き起こしうること、そしてそれをコミュニケーションによって回避する方法を知っておこう、というものです。日本人生徒はやたらと日本企業の特殊な文化をみんなの前で説明させられました。
そして後半は、次のセメスターでのメインの授業となる「コンサルティングプロジェクト」の事前準備として、コンサルタントが利用する分析方法やツールを知っておこうというものです。面白そうだったのですが、内容がてんこ盛りかつ隙間隙間にチームディスカッションやチーム課題が組み込まれ、駆け足過ぎて消化不良で終わった感じはあります。なお、コンサルティングプロジェクトというのは、NUS MBAの目玉講義であり、シンガポール(一部国外の企業もありますが)に所在する実際の企業から経営課題を提供してもらい、MBA生が4~5人のチームとなって実際の企業担当者とやり取りしながら、最後の報告書をまとめていくというものです。中小企業診断士の実務補修みたいな感じですが、大企業や外資企業のシンガポール法人もあったりと、なかなか気合の入った企業リストになっています。中には、コンサルに入った企業から実際にオファーをもらった生徒もいると語られており、かなり真剣なクラスメイトもいます。こちらの紹介はまた今度。
<参考にしたテキスト>
「The Culture Map」この本は教授指定のテキストなのですが、もともと名前は知っていました。というのも、2年くらい前のタイに駐在していた頃、バンコク商工会議所(海外にも商工会議所はあるのです!)主催のイベントで人事コンサルの方が東南アジアにおける労務マネジメントについて講演されており、その中でこの本のデータを数多く紹介されていました。確かにややデータは古く、いまでは生まれた国で個人のパーソナリティを分析するというのはややステレオタイプと言われかねませんが、示唆に富む内容となっております。日本語版もあるみたいですね。
ということで、わからない事だらけの中、あっという間に終わった第一セメスターでした。前半はまだ何とかなったのですが、後半になると自分のリズムを見失ってしまい、ブログ執筆の時間が取れなくなってしまいました。特にチーム課題はミーティング(フィジカル・オンライン)が湯水のごとく時間と気力を奪い取ってしまいます。次のセメスターはもう少し自分のリズムを取り戻せるようにタイムマネジメントに気を配りたいと思います。
でもブログの内容が有用かどうかはさておき、こうやってブログに経験や感じたことを書き出すというのは、精神衛生上いい気がします。「王様の耳はロバ」効果と勝手に名付けていますが。
それでは今日はこのあたりで。